製品の名称を保護するしくみとしては、商標制度が広く知られています。これとは別に、特定の産地での特徴や品質、地域との結びつきのある農林水産品(加工品を含む)や酒類において、登録により登録団体のみがその名称の使用を認められ保護される制度が始まっています。これを地理的表示保護制度(以下、GI制度)と言います。ここでは、農林水産品を中心にしてご説明いたします。

 ※GI制度では、加工品を含む農林水産物については農林水産省、酒類は国税庁での登録となります。

GI制度における登録のメリット

 商標制度との比較でのメリットは次の通りです。

【メリット①】名称に合わせた地域産品のブランド化が可能

 登録されれば、地域の名称などを冠した農林水産品(地場産品)は、その登録団体のみで生産・販売が可能となります。つまり商品のブランド化が可能となり、類似商品との差別化を図ることができます。これにより、「価格の上昇」による収益の向上や取引の拡大、さらには生産業者の担い手の確保などが可能となる効果が期待されます。
 なお、登録された農林水産品には、登録標章「GIマーク」の使用が可能となります。

【メリット②】名称等の不正使用の取り締まりは行政が行ってくれる

 商標制度では、登録者が自ら発見し、必要に応じて訴訟等を提起する必要があります。GI制度では、農林水産省が不正使用等を取り締まり、措置命令などを発出することになりますので、登録した生産者団体の手間がかかりにくいです。

【メリット③】EUを中心に海外でも保護される

 このGI制度は、もともとはEUで始まった制度です。EUとは協定が発効しており、日本とEU相互で保護し合うしくみとなっています。将来的に海外へも売り出そうとしている農林水産品であれば、早めに登録しておくメリットがあります。

GI制度での留意点

 ただし、留意点もあります。
 ①登録は「団体」であること
 ②登録の生産者団体には明確な生産行程の管理規程が定められていること
 ③登録の生産者団体への加入の自由が保障されていること
 ④登録団体において、生産業者に対する品質管理を徹底すること
 ⑤年1回の実績報告書を提出し農林水産大臣のチェックを受けること
 ⑥登録までに「申請の公示」学識者や利害関係者からの意見聴取などもあり一定の時間がかかる

高知県のGI登録・申請状況

 現在、全国でGI登録されているものは、加工品を含む農林水産品は170産品(2026年7月17日現在)、酒類は34品(2025年10月現在)となっています。高知県は、少し出遅れている感があり、登録されているのは「物部ゆず」の1産品のみとなっています。産品の登録制度には別に商標制度がありますので単純に比較はできませんが、全国的にGI登録が進んできていることを考えると、全国・世界へと売り出すことができそうな農林水産品や酒類のある高知県からの登録をすすめることは、地場産品の普及や保護に必要ではないかと考えています。
 念のため、2026年10月31日現在、登録や申請の公示等がされている高知県の産品は以下の通りです。

【高知県でGI登録済】(申請団体名・登録日)
 ●物部ゆず(高知県農業協同組合・2020年6月29日 登録)

【高知県でGI登録申請の公示】※申請中のもの(申請団体名・申請日・現状の段階)
 ○夜須のエメラルドメロン(高知県農業協同組合・2019年8月21日・登録の申請の事実の公示)
 ○潮江菜(Team Makino・2025年11月11日・登録の申請の事実の公示)
 ○土佐あかうし(高知県農業協同組合・2026年1月27日・登録の申請の事実の公示)
 ○土佐ベルガモット(土佐ベルガモット協議会・2026年4月8日・登録の申請の事実の公示)

※酒類についての登録は現状ではありません。

当事務所でのGI登録申請

 当事務所では、農林水産品のGI登録について、申請書の作成や提出、生産者団体へのサポートを行います。

○農林水産品のGI登録申請: 165,000円(税込)~
  ※登録後に登録免許税として90,000円が別途必要です。
  ※サポート内容によって報酬額は異なります。お見積書でご確認ください。
  ※酒類のGI登録申請はお問い合わせください。